◆ 腸腰筋を正しくトレーニングする方法 ◆

深層筋(コア)と表層筋(スリーブ)

○ 大腰筋を鍛える

大腰筋を鍛えると良いと聞いたのでエクササイズをやってるんですけど、ちゃんと動いてるかどうかがよくわからないんです。」という相談をよく受ける。大腰筋は腰椎から大腿骨にまたがる大きな筋肉である(図1)。テレビや雑誌などで最近これがブームになっているのである(腸腰筋と呼ばれている場合もある)。「大腰筋を鍛えておなかぽっこりを治せ!」、「大腰筋エクササイズで若返り腰痛知らず」などなど。スポーツクラブにおいては大腰筋にターゲットを絞ったエクササイズクラスが開催されるほどである。また高齢者において大腰筋の筋量が多い人は運動能力が高くケガをすることも少ない、などの科学的データも出されている。このようにいいことずくめの大腰筋なのだがこれを正しく鍛えるのは容易ではない。何故か? 大腰筋が身体の深部にあるからである。表面に見えている腹直筋などの表層筋(ロルフィングではスリーブと呼ぶ)の下に内臓があり、そのさらに下にあるのが大腰筋なのである。このようにスリーブの奥にある筋肉のことをロルフィングではコアと呼ぶ。ではなぜコアである大腰筋はトレーニングが難しいのか?

○ コアとスリーブの関係

第一に深部にあるので意識するのが難しいという問題がある。大腰筋エクササイズの代表的なものとしては「立位で片足を持ち上げ股関節を中心にぐるぐる回す」というのがあるが、大腰筋で動いているという感覚を持つのはかなり難しいだろう。「お腹から脚がぶら下がる感じ」というイメージを持つことが必要であるが、それでも「その筋肉を使っている」という実感はあまり得られないのだ。一方、力こぶの筋肉(上腕二頭筋)や前腿の筋肉(大腿四頭筋)などのスリーブは意識するのが容易である。ゆえに上のエクササイズの動きをしようとすると、意識しずらいコアで無く、意識しやすいスリーブを使ってしまいやすいのだ。では、スリーブを使わないように脱力すれば自然にコアを使えるようになるのだろうか? 答えは否である。図2@は腹直筋や背中の筋肉が機能しなかった結果、骨盤が前傾し、大腰筋が骨盤前面に押し付けられている状態である。これでは大腰筋は機能できない。大腰筋が自由に動けるためには、腹直筋や背中の筋肉が適切な張力を持ちお腹の中にスペースを確保しておく必要がある(図2A)。スリーブが風船のようにバランスのよい張力を保ちその内側にスペースがあることが、コアが機能するための条件になっているのだ。つまりスリーブのバランスが悪い状況でコアを意識しようとしても、そもそも無理がある、というのが第二の問題になっているのだ。ゆえにロルフィングでは第1〜3回目のセッションでスリーブのバランスを整え、4〜7回目でコアに働きかけるというプロセスを重視している。

○ コアとスリーブをバランスよく使うためのエクササイズ

ここでは一人で簡単に行えるエクササイズを紹介したい。@ 仰向けに寝て両足をゆったり開く、 A 片足を床から数センチだけ浮かせる、これだけである。ポイントは「腸骨稜背面を床に押し付けつつ、太股が遠くに伸びていくように行う」ことである。このときスリーブのバランスがとれて、大腰筋はのびやかな状態で機能している。前腿で持ち上げるようにこの動作を行うのと比べて格段に軽く足が持ち上がるのが実感できるはずだ。

まとめ「深層筋を使うためには表層筋のバランスが必要である
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